2020 徳應寺納骨堂「無量寿堂」

安来市内にある徳應寺の納骨堂です。納骨堂とは、骨壷に入れた状態のご遺骨を安置しておく建物のことです。近年、全国的に納骨堂の数は増えつつあります。都心部では人口増加による墓地供給が不十分であることが主な理由ですが、島根県では、若者の都心部流出と共に、お墓の維持管理問題があり、永代供養もしてくれる納骨堂の需要が増えていると聞きます。

今回はお寺の境内に檀家さん向けの納骨堂として建てたいという要望を受けました。計画のプロセスとしては檀家を中心とした建設委員会を結成し、どのような納骨堂がふさわしいか檀家同士で協議し、近県各地の納骨堂の事例を見に行く等、意欲的な取りまとめが行われました。近隣でみられる一般的な納骨堂は、市条例、墓地埋葬法などの観点から防火に配慮した設計としなければならないという理由からかRC造や鉄骨造が多く、建物自体が「倉庫のような雰囲気」と揶揄されることがありました。今回の計画では、お寺に隣接して建築するということから「お堂のような建物」が望ましいという声に応えて、部分的に防火に配慮することで木組みを活かした木造とし、寺院境内の雰囲気を壊さない形態としました。

限られた面積制約がある中でも、手を合わせて拝むことができる礼拝のスペースに重きを置いて計画しました。この礼拝スペースは屋根や木格子に囲まれた空間としており、訪れた人が落ち着いた気持ちで礼拝できるように考えました。室内は納骨壇を配置し、入室できるのは納骨時のみですが、天井は方形屋根の形に添った間接照明、床は無垢のヒノキとして、上質さを感じるように配慮しました。慣習的に墓参りを大切にしている地域であるからこそ、既存の檀家向けの納骨堂の新しい在り方として、選択する人、見送る人、両者に対して「人の尊厳」を感じられる納骨堂にしたいという思いで設計に取り組みました。

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