






















玉造温泉街から南に行った山間にある、薪ストーブ店舗のショールームである。敷地は背後の主屋やクライアント両親の実家と前面道路に挟まれた、奥行7m×間口15m程度の狭小地に限られている。前面道路と背後の地盤では3m程度のレベル差があり、敷地が面する前面道路の両端でも1m弱のレベル差がある傾斜地である。こうした制約の多い敷地に、ショールーム、キッチンダイニング、倉庫、駐車場などの機能を収めることが求められた。
今回の計画では、主屋・実家への生活動線とショールームへの来客動線を整理すると同時に、傾斜地であることなど土地の制約を、むしろ建物の魅力として活かす計画とした。内部は中央に大きな階段を配置し、5層のフロアが螺旋状につながるスキップフロアの構成としている。エントランスより上階は立体的なワンルームの空間としており、将来の変化に対応しやすい計画としている。階段で次のフロアに上がるごとに、異なる雰囲気、スケール感が感じられる意匠とし、スキップフロアの醍醐味が感じられる計画とした。
入念な気密断熱の計画・施工により、冬は薪ストーブの暖気空間全体に行き渡らせることができる。また唯一離れた下階のトイレには、リビングに設置したのストーブからダクトで暖気を送り込む計画としている。夏は窓を開けるだけで自然と重力換気ができ、冷房をあまり必要とせず、冷涼な谷風を建物に取り入れることができる。
周囲は棚田が広がる自然豊かな場所であるため、時が経つにつれ経年変化で景観と調和する、木やコンクリートなどの素材感を活かした、シンプルなシルエットの外観とした。各フロアには玉湯大谷の四季の風景を一望できる大きな開口部を設け、冬は雪景色のパノラマを眺めながら、薪ストーブで暖まった内部空間との対比を実感できることが、この建物の一番の魅力である。
設計・監理
建築:安藤建築設計室(株)
構造:(株)MNQ構造デザイン
施工
岩野建築
建築概要
所在地:島根県松江市
構造:木造
規模:地上2階、地下1階
竣工:2018年1月
撮影
大野主税