























コンパクトな2階建の家であるが、季節の移ろいや生活スタイルの変化に合わせて、家族とともに成長していくような家づくりを目指した。外装は焼杉の下見張とし、新しいけれどもどこか懐かしく、田園の景観になじむよう心がけた。室内は杉材、和紙、タイルなど、素材の持つ特性や質感を見定めて、ローコストながらもバランスよく品のあるインテリアを目指した。リビングの大きな木製建具はフルオープンができ、障子・ガラス戸・格子網戸を使い分けることで、屋内外が一体となる様々な生活のしつらいをつくりだせる。
また、山陰の陰鬱な冬をいかに快適に過ごせるかということを、大きなテーマとした。そのために、「空気が流れる空間づくり」「冷暖房の効果的な活用」「室内の温度差を無くす」ことを重視している。断熱性能は省エネ対策等級4を満たし、各部屋はランマや小吹抜、スノコ床などでつなげて、家全体をひとつの空間とした。小さな吹抜とスノコ床を階段の対角線上に配置することで、上下階を含めて家全体で空気が対流する計画としている。太陽熱を利用するパッシブソーラーシステムを設置し、屋根面で集熱・冷却した外気をダクトで基礎空間内に送り込む計画としている。冬は薪ストーブで暖められた空気を、夏は小屋裏に設置したエアコンの冷気を1階床下に循環させ、足元から住空間全体を冷暖房できる計画とした。
構造材は全て島根県産材を使用し、耐震等級2を満たす計画としている。中央の大黒柱と外周部の耐力壁で荷重を負担させ、内部の壁は全て非耐力壁としている。そのため家族構成の変化などによる、将来的な間仕切変更にも対応がしやすい計画とした。
主屋は敷地に対して45度傾いた配置としているが、そうすることで屋根面が真南を向き、パッシブソーラーシステムの効率を上げている。さらに敷地内の既存樹木を残すことができ、リビングから大山への眺望も望める家となりました。また家の向かいには保育園があり、園や地域のイベントの会場にもなる。建物や塀はできるだけ道路からセットバックさせて、前面にゆとりあるオープンスペースを提供できる外構計画とした。
過剰な機械設備に頼るのではなく、自然の恵みを活かした心地よい住宅が出来たように思う。毎日の天気を気に留め、薪を割ったり火を熾したりしながらの生活は、新たな日々の愉しみとなっている。
設計・監理
建築:安藤建築設計室(株)
施工
(有)砂原建築企画
建築概要
所在地:島根県安来市
構造:木造
規模:地上2階
竣工:2014年10月
受賞
第18回エコ電化住宅作品コンテスト 審査委員特別賞
平成27年度しまね建築・住宅コンクール 最優秀賞
第4回しまねウッドスタイルコンテスト 大賞