












松江市中心部の閑静な住宅地に佇む、延べ25.5坪のコンパクトな住宅である。施主には当初から「太陽の恩恵や自然を感じながら暮らしたい」という思いがあった。建物は敷地条件やコスト面を考慮し、4.5間×3間の総2階建てとし、切妻屋根のシンプルな構成とした。リビング中央には、この家にしては大きめの吹抜と窓を設け、1階と2階が立体的なワンルーム型のプランとすることで、自然採光と通風を導く計画とした。平面計画では、限られた面積の中でも回遊動線を確保し、生活動線の自由度を増した。断面計画では、空間を隅々まで有効に使い、天井高や仕上にメリハリをつけることで、コンパクトであっても使い勝手を犠牲にせず、閉塞感のないおおらかな住まいを目指した。
冬は、1階の床暖房と、2階吹抜上部に設置したエアコンを温度センサーで連動させ、階段の竪穴とあわせて自然対流を促し、建物全体で温熱環境が一体となることを目指した。また、夏は自然と下へ流れる冷気の特性を利用し、吹抜と2階のフリースペースのエアコンで、1、2階とも快適に過ごすことができる。空気が対流する家づくりを意識することで、自然とどこにいても家族の気配が感じられる住まいとなった。
計画地は、建物が密集する法22条地域のため、周囲はサイディング張りやモルタル塗りを外壁とした住宅が多い。この住宅は、構造材だけでなく外壁も防火構造の大臣認定工法を採用することで木張りを可能とし、建物として街並みに温かさや柔らかさだけでなく、時に凛とした印象をもたらしている。外観の杉板は施主と設計者が共同で塗装し、工務店の工場を借りて、両面2度塗りを丸2日間かけて仕上げたものである。施主が自ら施工にかかわることで、将来的なメンテナンス性の向上に役立てることが出来る。
南に建つ親世帯の住居との間に生まれた3坪程度の小さな庭は、互いの建物が光や風を遮らないように、またつかず離れずの心地よい間として期待したものである。暮らしはじめて数年で、お茶や日曜大工、子どもたちが水遊びしたりするコモンスペースのような空間となった。
外壁塗装やフローリング塗装、設備の支給など施主自ら家づくりに参加することで、新しく生まれたオリジナリティや、施主・設計者・施工者が一体となって作り上げる喜びを、改めて感じることがでた。
設計・監理
建築:安藤建築設計室(株)
構造:なな喜建築設計室
施工
(有)高橋工務店
建築概要
所在地:島根県松江市
構造:木造
規模:地上2階
竣工:2019年3月
撮影
岡田泰治